論文における謝辞とは?

謝辞は、論文作成に関してお世話になった人に感謝を述べる言葉です。修士論文や博士論文など、長い論文の場合は、論文の冒頭や末尾に「謝辞」(Acknowledgement)というセクションを設けて書くのが一般的です。また、投稿論文などでは脚注や文末注の冒頭に短く書くことがあります。形式は雑誌などによって慣例があると思いますので、既刊のものをチェックするとよいでしょう。

謝辞は必ず書かなければならないものではありませんが、論文は一人だけでは成り立ちませんので、どこかに記したほうが気持ちがよいでしょう。また、謝辞で具体的な名前を挙げることで、「その人と議論した」あるいは「有名な先生に見てもらった」といったことを示すことができ、多角的に検証しているということや、権威的な人にも認めてもらっているということを示すことができるでしょう(もちろんこれが第一目的ではありませんが)。

だれに対して謝辞を書く?

そもそも、だれに対して謝辞を書くべきなのでしょうか。もちろん「お世話になった人」が正解ですが、すべての人を挙げることはできません。そのような場合、「すべての人の名前を挙げることはできないが」的なことを書くこともあります。

修論、博論などで筆頭に挙がるのは、もちろん指導教官です。そして、審査に当たってくれた副査の先生の名前も挙げる必要があるでしょう。あとは、コメントをもらった先輩、切磋琢磨した仲間など、状況に応じて適宜書きます。また、博論の場合、非常に長い時間がかかることが一般的ですので、その間支えてもらった家族へも謝辞を書くようにします。

他の人のデータを使用した場合は、そのデータを貸してくれた組織や人に御礼を言うべきです。自分がデータをとった場合は、被験者に対する謝辞は普通はつけません。つけても匿名で、「参加してくれた人たち」として代表させることが一般的なようです。

投稿論文の場合、レビューアーに対して謝意を示す場合が多いようです。もちろん名前はわかりませんので、anonymous reviewers(査読者)として書きます。

科研費などを使った論文の場合

科研費などの補助金を使って研究を行った場合、これらを謝辞に明記するのが一般的です。特に科研費の場合、明記することが義務化されています。学振の特別研究員も含まれますので、注意してください。

以下、日本学術振興会のページから引用します。

『日本学術振興会 科学研究費助成事業 使用ルール』(http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/16_rule/rule.html)より(2017/10/20)。平成28年度より課題番号の前にJPを付けることになりました。

===========引用開始===========

科研費により得た研究成果を発表する場合は、科研費により助成を受けたことを必ず表示してください。

Acknowledgment(謝辞)に、科研費により助成を受けた旨を記載する場合には「MEXT/JSPS KAKENHI Grant Number JP8桁の課題番号」を必ず含めてください。
・文部科学省から交付を受けた科研費の場合 :MEXT KAKENHI Grant Number JP8桁の課題番号
・日本学術振興会から交付を受けた科研費の場合 :JSPS KAKENHI Grant Number JP8桁の課題番号
Acknowledgment(謝辞)の記載例は、次のとおりです。

・論文に関する科研費が一つの場合(課題番号「12345678」)

  【英文】:This work was supported by JSPS KAKENHI Grant Number JP12345678.
  【和文】:本研究はJSPS科研費 JP12345678の助成を受けたものです。

・論文に関する科研費が複数(三つ)の場合(課題番号「xxxxxxxx」「yyyyyyyy」「zzzzzzzz」)

  【英文】:This work was supported by JSPS KAKENHI Grant Numbers JPxxxxxxxx,JPyyyyyyyy,JPzzzzzzzz.
  【和文】:本研究はJSPS科研費 JPxxxxxxxx,JPyyyyyyyy,JPzzzzzzzzの助成を受けたものです。

※Acknowledgment(謝辞)に科研費により助成を受けた旨を記載する場合に、補助金分と基金分の科研費を区別する必要はありません。

〔参考〕 研究種目等の英訳

科研費 Grants-in-Aid for Scientific Research(略称「KAKENHI」)
科学研究費補助金 KAKENHI(Series of single-year grants)
学術研究助成基金助成金 KAKENHI(Multi-year Fund)
特別推進研究 Grant-in-Aid for Specially promoted Research
特定領域研究 Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
新学術領域研究 Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas
基盤研究(S・A・B・C) Grant-in-Aid for Scientific Research(S)or(A)or(B)or(C)
萌芽研究 Grant-in-Aid for Exploratory Research
挑戦的萌芽研究 Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
若手研究(S・A・B) Grant-in-Aid for Young Scientists (S)or(A)or(B)
若手研究(スタートアップ) Grant-in-Aid for Young Scientists(Start-up)
研究活動スタート支援 Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
特別研究促進費 Grant-in-Aid for Special Purposes
研究成果公開促進費 Grant-in-Aid for Publication of Scientific Research Results
特別研究員奨励費 Grant-in-Aid for JSPS Fellows
学術創成研究費 Grant-in-Aid for Creative Scientific Research

文部科学省      The Ministry of Education,Culture,Sports,Science and Technology(MEXT)
日本学術振興会 Japan Society for the Promotion of Science(JSPS)


===========引用終了===========


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